ちんぷんかんレビュー
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ちんぷんかん
ちんぷんかんを購入された方のレビューです。この作者の作品は大好きですべて集めてます☆この作品もスッゴク面白かった☆
切ない話が多い中
まさか三途の川まで行ってくるとは、さすが若旦那。
短編集なので一話一話日を変え、ゆっくり読もうと思ったのですが、読み始めると面白くて数時間で読破してしまいました。面白いだけではなく少しほろ苦い、そんなこのシリーズのお話はやはり面白かったです。
大店「長崎屋」の一人息子としてなに不自由ない暮らしをしているはずなのに、あまりにも病弱すぎていつも「こまめに死にかけている」若だんなと妖たちの繰り広げる日常生活と事件を描いたシリーズの第6作。
前作『うそうそ』が長編だったのに大して、こちらは短編集。
連作なので、少しずつ前のお話が次のお話とつながっていたりします。
いよいよ三途の川を渡りかけた若だんなのお話から始まって、母おたえと藤兵衛とのなれそめに、広徳寺の寛朝の弟子や、兄の縁談話など、今回は若だんなの周囲の人間たちに焦点を当てた物語がメイン。
とはいえ妖たちは今回もいろいろ大活躍。
人間にとっては本当は恐ろしいはずの妖の方が、正直であるが故に若だんなやおたえに優しいという少し皮肉なところもまた味わいがあってよいです。
一番最後の物語のおしまいの切なさがなんとも言えません。
どんなに相手を想ってもままならないこともあり、それでも相手を想うからこそ、心を痛めるというのは辛いことだけれど、そういう気持ちは人が生きていく上で、とても大切な気がします。
胸を刺すような棘と、優しさが入り混じったあたたかい物語でした。